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日本胎生魚協会公式サイト

プロフィール原種胎生魚のページ

原種胎生魚について

原種胎生魚 その魅力とは

はじめに〜

みなさんの水槽で泳いでいるグッピーやプラティ、そしてモーリーたち……、彼らは赤や青や黄など美しい色彩を身にまとっていますね。でも、ネオンテトラのようにそのままの姿で故郷の川を泳いでいたわけではありません。
そのほとんどがショップで目にする改良種とは、色彩も鰭型もまったく別物のように地味な姿をしています。
私たちJLAは、美を追求して作り上げられた芸術品とも言える「改良種」はもちろんのことですが、その改良種の元になった「原種」たちにより多くのスポットを当てています。
そこには、グッピーやプラティなどショップで普通に見かける魚の原種以外に、一般に広く普及していないために通称というものがなく、学名で紹介せざるをえない魚たちがたくさんいます。
もしあなたが、原種胎生魚に興味を抱き、専門書を手にしたらその種類の多さにきっと驚くことでしょう。
私たちがこれまで目にしてきた胎生魚なんて、氷山の一角のそのまた一角に過ぎなかったと思い知らされるのです。

原種の魅力とはなんだろうか?

ある日我が家を訪ねてきた友人が、しげしげと水槽を眺めてポツリとこう尋ねました。
「なんで色のない魚ばっかり飼ってるの?」
熱帯魚と言えば色鮮やかな魚たちが乱れ舞う、そんなイメージを持っていた友人にとって、私の水槽は違和感たっぷりのものだったのでしょう。人目を惹きつけるほど色鮮やかなわけでもなく、一風変わった姿をしているわけでもない小魚が、私たちを原種フリークに変えたのはなぜなのか? 彼らの魅力とは何なのか、私と原種との出会いにさかのぼって少し考えてみました。

記憶をたどってみれば私がはじめて飼育した原種は、原種にしては珍しく「メリーウィドゥ」という通称を持った魚でした。
メリーウィドゥ=陽気な後家さん 
雌は精子を体内に蓄えることができます。(*メリーウィドゥだけの特徴ではありません) そのため交尾済みの雌は雄が先に死んで後家さんとなっても、その後3〜4回は仔を産み続けることができることから、その呼び名がつきました。

正式には、Phallichthys amates という魚で、いまでこそショップで見かけることは少なくなりましたが、私が子供の頃は比較的見かけることの多い魚で、金額的にも子供のお小遣いで買える魚でした。
この時点では、原種胎生魚の魅力に惹かれてというより、自分の小遣いの範囲で買える熱帯魚だったということのほうが大きかったと思います。
それともうひとつ。
日淡も好きだった私には、フナやメダカと大差無い野性っぽい魚が、卵でなく仔を産むのが、グッピーなどよりかえって新鮮に感じられておもしろかったのです。

私が、原種の美というのを意識するようになり、原種胎生魚をもっとたくさん見てみたい!と思うようになったのは、Phallichthys amates との出会いから数えると十数年……いやそれ以上の時が過ぎていました。
きっかけはアクアライフ誌に掲載されていたポエキリア・ピクタの写真です。
作り上げられた色彩や体型に多少辟易していた私にとって、その野性味溢れる姿と色彩は、衝撃とも言える感動を与えたのです。
アクアライフ誌を手にしたまま、「ああ、こういう魚が欲しかったんだ!」とひとりで何度もうなずいたのを覚えています。

そこから私の原種漁りが始まりました。
しかし、ひとくちに原種と言ってもどこででも手にはいるという代物ではなく、ましてや片田舎でのこと、最初は欲しいと言う気持ちだけが空回りしていました。
当時まだPCを持っていなかった私には、たまたまショップのリストにそれらしいものを見つけてもどんな魚なのか調べようが無く、店員聞いても判らず、だからと言って「試しに注文してみる」というにはあまりにも高額だったのです。

そこで私は発足して間もない日本卵胎生・胎生魚協会(現 日本胎生魚協会)に入会することにしました。
私は気になった魚について逐一質問することができる環境を手に入れ、ようやくリストにある魚と実際の姿が一致するようになったのです。
飼育難易度についてアドバイスを受け、さらに財布と相談(笑)しつつ、ついにグッピーの原種をはじめ、数種の原種胎生魚を我が家に迎えることができたのです。

初めは、原種と言っても比較的色彩に富んだものから集めはじめたと思います。しかし、やがてバイブルとも言うべき洋書「Lebendgebarende Zierfische」を手にしたころには、我が家の水槽はいぶし銀の魚たちによって占められていたのです(笑)
彼らの魅力は「どこがどう」とハッキリ言葉にはしにくいのですが、それを強いて表現してみるならば……

「鉱脈に浮かぶ宝石の原石ような野生美」

「改良種では想像できないほど飼育繁殖が難しい種が多く(容易なのもいます)、それをクリアしたときの達成感」

「流通量が少なく、その希少性」

これらがマニア心を強くそそるのかもしれません。
そしておそらくなによりも、彼らの飼育繁殖を楽しくさせているのは「やっと仔がとれたよ!」 「おお! そりゃすごい!」と喜び合える友の存在だと思います。
これを読んで原種に興味をお持ちになった方は、ためらうことなく我らJLAの門戸を叩いてみてください。
ただし前もって申し上げておきますが、当会は入会してもあなた自身から交流を求めていかなければ何も起こりません。その代わり、良識をもって交流を求める人に対しては可能な限り知識や情報、生体をお分け致します。(単に魚を入手するだけが目的の方は入会をご遠慮ください)
聖書という柄ではないですが、何事も「求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。門をたたけ、さらば開かれん。すべて求むるものは得、たづぬる者は見いだし、門をたたく者は開かるるなり」の精神です。

日本胎生魚協会会長 永井 邦昌

原種胎生魚図鑑

※掲載の水温域、pH、dH等は飼育に適した数値という意味ではなく、現地の生息域で計測されたデータの上下限値です。
※性質に関しては、同種でも環境、系統等によって大きく異なる場合がありますので、参考までにとどめてください。(たとえば温和なプラティにも気性の激しいものがいます)

JLA胎生魚図鑑編集担当 永井 邦昌
JLA胎生魚図鑑編集担当 市川 槙人

原種の知識がほとんどない頃、胎生メダカはグッピーとプラティとヴァリアタス、そしてモーリーくらいしか知らず、自然界には彼らの原種が存在するくらいのものだろうと思っていました。しかし、実際に調べてみるとその多様さに驚かされます。
論より証拠、以下をクリックしてみてください。とは言え、ここで紹介している分ですら、ほんの一部に過ぎませんが。
学名を見てすぐに姿が思い浮かぶ方も、アルファベットの羅列にしか見えない方も、まずは彼らの世界の入り口を覗いてみてください。
 Alfaroの仲間  Anablepsの仲間  Belonesax belizanus
 Brachyrhaphisの仲間 Cnesterodon decemmaculatus  Gambusiaの仲間
 Girardinusの仲間  Heterandriaの仲間  Limiaの仲間
 Micropoeciliaの仲間  Neoheterandriaの仲間  Pamphorichthysの仲間
 Phallichthysの仲間 Phalloceros caudimaculatus  Poeciliaの仲間
 Poecilia sp. "Endler's"  Poeciliopsisの仲間  Priapellaの仲間
 Xiphophorusの仲間  真胎生の仲間  

撮影協力者(敬称略・50音順)
Heinz Schopfel・Juan CarlosMerino・市川 槙人・伊藤 太乙・内海 克彦・奥田 泰・片山 富恵・川野辺 渉・古賀 祥朗・佐々井 義男・染葉 治・谷口 真平・永井 邦昌・永井 賢治・根本 博道・早瀬 新平・本田 小太郎・萬代 優一・森永 和生・米道 明人・渡辺 敦夫・渡辺 敬晴